2010年7月 3日
本藍 100%のジーンズ
そもそも本当に縦糸を100%本藍で染めたジーンズが存在するのかどうか...
結論からお話ししますと それは間違いなく存在します。
しかしながらそのような話が出るということは、100%本藍染ではないものが100%本藍染
としてこの世に多数存在することに起因しているという事実があると認識しております。
ではまず私が作っている100%本藍染めの品番1105NAについてお話したいと思います。
この商品を最初に発売したのは1995年、弊社がジンバブエコットンを用いたデニムを開発
した直後に同じジンバブエコットンで天然藍100%染めを¥30000以下で出したいという思い
から企画が始まりました。 (それまでは田垣氏率いるダルチザンが¥50000前後で販売
されていました。)
この企画はジンバブエコットンのそれと同様 ㈱コレクトとともに行いました。 この会社は
最近は桃太郎ジーンズという自社ブランドにより周知されていますが、弊社とほぼ同時期に
創業し、まさしく我々FULLCOUNTと2人3脚でデニムの開発に熱意を注いできました。
当時天然藍100%のデニムの生地が出回ることはごく稀で、出たとしても¥30000以下で
製品化できる生地単価のものは存在しませんでした。 したがって1から企画しオリジナルで
生地を制作するほか道はなく、我々は阿波藍として平安時代から藍染めを続けているという
徳島県藍住町へ向かいました。 そこで藍師と呼ばれる職人に出会い我々の企画の意図を
熱意をもって伝え、デニムを織るための糸を染めていただけることになり、継続して生産する契約
をしました。
阿波藍の歴史は荒妙(あらたえ、麻織物のこと)を染めるために平安時代から栽培がはじまり
戦国時代以降需要が高まりました。それは武士が鎧の下に藍染めの肌着を着ることにより
傷や虫さされから身を守ったからであるといわれています。 その時期徳島藩は藍の生産を
奨励し藍師や藍商からの租税で財政を確立しました。 元禄期に興隆を極めたのですが、明治
時代後期にドイツからインディゴが大量に入ってくるようになり衰退してしまい、現代では伝統
工芸としての天然藍として残っています。
話を戻しまして我々はデニム用の糸を染める工程の説明を受け、現場で見学し染めの体験も
させていただきました。 そしてついに藍師の方のご理解を頂き念願の¥30000以下天然藍
100%のデニムを発売することができました。 その当時も天然藍でその値段はちょっと怪しい
という声も実際にありました。 普通に考えたらそうでしょう。 でも僕らは普通ではやらないこと
をやるのが仕事なのです。 僕は天然藍の独特な色合いにほれ込んでおり、今も大好きです。
その良さを広めるために直接伝統にふれ、職人と気持ちを通じ合わせてものづくりを続ける。
そして次の世代に受け継ぐという使命感をもっています。
我々に悩みがあるとすれば、偽物や偽物という意識はないが、目で確かめず生地屋さんの
言われるがまま天然藍であると信じてそれを本物として販売されているという事実が数多
あるという事実なのです。 その違いを見分ける感性をもってそれに対抗するしかユーザー
の立場としてはないのすが、本物の藍染めはインディゴのそれとはひと味もふた味も違った
経年変化を楽しむことができる素晴らしいものです。
ちなみに藍染めの工程についてはとくに阿波正藍製法について詳しく書かれています。
藍布屋(らんぷや)のHP www.rampuya.com をご覧になっていただけるといいと思います。
桃太郎ジーンズの藍染めも100%本藍です。 僕が保証します という以前に
手織り機で織っているので少々高いですが.... (笑)
はきごこち最高です!